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求職者に感動を与える体験を 「Candidate Experience」とは

「Candidate Experience」(以下CX)は直訳すると「候補者体験」です。「就職活動中の体験」とも呼ばれています。企業が自社に応募してくれた求職者に対して、採用選考のプロセスに自社らしい工夫をしたり、アフターフォローをすることで、求職者に「(採用の合否に限らず)この企業を受けてよかった」と思わせる体験のことを指します。

企業と求職者の互恵関係の体現

CXは、企業が求職者に対して感謝や思いやりを示す取り組みとも言えます。実際に求職者が自社の選考を受けるまでに、どれだけのプロセスがあったのかを考えるとわかります。まず求人情報から企業を探し出し、関心を示し、応募します。その次に履歴書を書き、企業の情報を収集し、面接の練習をします。そして、面接を受けにオフィスまで足を運びます。

少し大げさに書きましたが、このように求職者は企業に対して、自分の時間や労力を使っています。企業としても感謝や思いやりを持って求職者に対応することが大切です。

具体例として、Googleは、

  • 履歴書を見て、求職者の興味と合うように面接官を準備して、話しやすい環境を作る
  • たとえ不合格でも、どのように採用意思決定が行われたかを説明する

といった取り組みをしています。

Googleが公開しているCXに関する資料 re:Work - Guide: Shape the candidate experienceによると、求職者に対して真摯に対応した(CXを行った)結果、採用に至らなかった求職者の80%が、その後友人などにGoogleに応募することを勧め、Googleは自社にあった優秀な人材を得ることができたそうです。

アメリカや海外では授賞式もあるほど普及している

アメリカのHR情報サイトWorkology によると、この言葉が生まれたキッカケは、2010年に行われたリクルートフェスカンファレンスと言われています。その後、企業へのCXの促進や質の向上を目的としたNPO団体"Talent Board"が主催した『Candidate Experience Awords』という授賞式がアメリカで開催されるようになりました。2018年現在では、アメリカに限らず、ヨーロッパやアフリカ、中東、アジアでも同団体が主催し、開催されています。2018年はジョンソン・エンド・ジョンソンやニューバランス、インテルなどの企業が授賞しています。

参考:CELEBRATE THE NOW: TALENT BOARD ANNOUNCES WINNERS OF 2018 NORTH AMERICAN CANDIDATE EXPERIENCE AWARDS

この取り組みが注目されている背景


企業と求職者の立場が対等になった

現在、企業が一方的に求職者を選んでいた時代から、求職者も企業を選ぶ時代になってきています。企業と求職者が対等な立場になっているのです。特に優秀な人材は、内定を複数社から貰っていることが予想されるため、企業側は求職者に対し、自社の魅力をこれまで以上にアピールする必要があります。こうしたことからCXが注目されるようになったと言えるでしょう。

情報過多だからこそ、人は口コミに価値を見出す時代に

情報が溢れている現代社会において、人はレビューや口コミといった情報に価値を見出すようになりました。マイボイスコム社の調査によると、サービスや商品を購入する上でインターネットの口コミを参考する人の割合は約55%と半数以上を占める結果がでました。ユーザーは『口コミに価値をみいだしている』と言えるのではないでしょうか。

良いことも悪いことも口コミでは広まります。企業がたった1人の求職者に対し、不適切な対応をしただけで、口コミによってその企業の価値が落ちてしまうこともあります。そのような時代だからこそ、企業が求職者一人ひとりに向き合うCXが注目されているのです。

参考:ネット上の口コミ情報に関するアンケート調査

『Candidate Experience』の効果

次にCXを実施することによる効果について説明していきます。

優秀な人材に数ある選択肢から、自社を選んでもらえる

上記で説明したように、売り手市場であることから自社に合った優秀な人材を確保することが難しい時代です。しかし、CXを実施し上手く機能させることができれば、『一人ひとりを大切にしているいい会社だな』と応募者に感じてもらえ、優秀な人材から自社を選んでもらえる確率が高くなります。大半の企業は、求職者に対してCXを重視していません。CXは他社との差別化要因のひとつとなり、数ある中から自社を選んでもらうことが可能性として高くなるのです。

合否に限らず、成長して再応募してきてくれたりすることも

CXを受けた求職者は、たとえ採用されなかったとしても、自分のためにここまでの対応をしてくれた企業を嫌いになる可能性は低く、むしろ「成長してまた受けたい」「この企業対応がすごくいいから、転職中の友人に紹介してあげよう」といった感情を抱くことに繋がるでしょう。また、そういった情報がクチコミやSNS等で広まり、企業のイメージアップや応募者の増加といったプラスに働くこともありえます。

選考後も企業の製品やサービスのファンになる

選考後、CXを受けた求職者がその企業に就職することになったのであれば、自社に対して誇りを持ち、仕事に取り組んでくれるでしょう。逆に落ちてしまったとしても、企業に対して好印象を持ち、その企業の製品やサービスのファンになってもらえる可能性があります。つまり、対外的な企業のブランディングにも繋がるのです。

「Candidate Experience」を実施する前に

ただ真似しても意味がない『自社らしさ』を考える

CXを実践するために、ただ上手くいっている企業を真似るのでは、成功しません。CXには「自社らしさ」を組み込む必要があるからです。企業の行動と言動が一致していなければ、説得力がないため、他社の真似をするだけでは、上手くいく可能性は高くありません。

例えば、企業の大切にしている価値観に『コミュニケーションの場を作る』というものがあるとします。

こういった場合、考えられるCXは、

  • オフィスを案内して、フランクに話す機会を設ける
  • 決まった人だけが関わるのではなく、様々な人と関わる機会を増やす
  • 応募者が選考を通った際に、選考中に関わった人が『おめでとう!』のメールを送る
  • 面接前に質問事項や伝えておき、応募者が緊張しないような準備や工夫をする
  • 面接後にフィードバックをして、応募者の魅力や感謝の意、自社が提供できるポジションや働き方にあっているのかを伝える

があげられます。

このように、『自社らしさ』をCXに落とし込むことが大切です。ですので、事前に『自社らしさ』とはどういったことなのかを話し合い、明確にした上で実施していくことが必要以上に大切なのではないでしょうか。

まとめ

CXを重視することで、面接に費やす時間や他部署とのやりとりが増えるため、人事や採用担当にかかる負担が大きくなってしまう可能性があります。しかし、人材の確保以外にも、認知度の向上といった対外的なブランディングにも繋がります。

CXは人材を獲得するためのひとつの手段です。自社の採用面談の戦略を考える際の参考にしてみてはいかがでしょうか。

株式会社ミクシィ・リクルートメント

株式会社ミクシィ・リクルートメント

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