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優秀な外国人技術者が口コミで集まる! 離職率7.15%が物語る魅力的な職場の作りかた

昨年、改正入国管理法が施行されるなど、日本で外国人採用の広がりが期待されています。

そんな背景の中、AIを活用したチャットボットサービスなどを提供するモビルス株式会社では、創業当時から積極的に外国籍社員を採用してきました。今後、ますます多くの企業が外国人採用に取り組む中で、すでに外国人が多く在籍する企業ではどのように採用業務を遂行し、仕事を進めているのでしょうか。

実際にエンジニアの4割以上を外国籍社員で構成しているモビルス株式会社に、優秀な外国人技術者を採用する方法や社内コミュニケーションについて伺いました。また、高い定着率を誇る職場づくりの秘訣についても紹介します。

石井智宏氏プロフィール

1973年 千葉県生まれ。ドイツ・アメリカ・中南米で半生を過ごし、現在市川市在住。
2009年にペンシルバニア大学ウォートンMBA取得。早稲田大学卒業後、ソニー株式会社にて11年間ラテンアメリカ市場におけるセールスマーケティングに従事。その後ソニー元社長兼会長 出井 伸之氏が設立したクオンタムリープ株式会社のエグゼクティブパートナーとして、企業の海外進出を実行支援。2014年 モビルス株式会社 代表取締役社長に就任。
慢心せず周囲の人から教えを請うことがモットー。
​​​​​​​2018年に初挑戦したフルマラソンのタイムを縮めることが当面の目標。


エンジニアの4割以上が外国籍

ferret:
外国籍社員を多く採用されていると伺いました。2019年1月時点でどれくらいの割合の方が在籍されているのでしょうか?

石井氏:
外国籍の従業員の割合は全体の30.5%です。特にエンジニアでの比率が高く、41.7%が外国籍で、エンジニアの半数近くを外国籍の社員が占めています。

現在はフィリピン、スリランカ、ロシア、中国、韓国、ベトナム、ポーランド、アルメニア、オランダ、トルコ、バングラデシュ、インドネシアの計12カ国出身の社員がいるなど、出身国別では創業以来最も多くの国の外国籍が働いていますね。

外国人エンジニアデータベースと口コミから採用

ferret:
世界中のエンジニアたちを、どうやって見つけてこられるのでしょうか?

石井氏:
現在は口コミが大きな要因になっていますね。弊社ではベトナム籍の社員が多く在籍しているのですが、特にハノイ工科大学などで採用実績が多く、そうした大学で優秀なエンジニアたちの間でモビルスのことが噂になっているようです。

もちろん創業当初は口コミはありません。最初は人材会社から紹介をしてもらっていました。弊社も出資している転職支援事業をしているプレイネクストラボという会社が外国人エンジニアのデータベースを持っていまして、そこからの採用がもっとも多いですね。

それから、日本人で海外に出て働きたい人、外国にいて他国へ出て働きたい人たちをメインにしている人材会社ともお付き合いがあります。非常に優秀な方たちを紹介していただいています。

ferret:
外国籍人財に強い人材会社を主に利用することで、社内の外国人比率を積極的に増やそうとされているのでしょうか?

石井氏:
確かに私自身も中南米での駐在経験があり、共同創業者でCTOであるドゥック グエンもベトナム出身のため、国際的な要素はあるのですが、意識して外国人を採用しようとしているわけではありません。

今、マーケットニーズに対してエンジニアが不足しているので、どこの会社でもエンジニアの採用が難しくなっています。そんな中で優秀なエンジニアを採用しようとしたときに、必然的に外国籍社員が増えているんです。外国籍社員を視野に入れると優秀なエンジニアを採用できる確率が高い。それだけの理由です。

公用語は日本語、共通言語はコード

ferret:
社内でのコミュニケーションは何語で行っていますか?

石井氏:
日本語です。弊社は公用語を日本語にしていますので、基本的には日本語を話せる人たちを採用しています。ミーティングやメールは基本的に日本語で、必要に応じて英語でのコミュニケーションも発生しますね。

ただ、中には日本語も英語も話せなくて、ベトナム語だけ話せるエンジニアもいます。

ferret:
そういった方たちは、仕事を進めるうえで問題にならないのでしょうか?

石井氏:
エンジニアたちには、コードという共通言語があるんですね。だから、あまり日常会話でバリバリ日本語を話せなくても問題になりません。

むしろ、先ほど話した日本語も英語も話せないベトナム人ですが、技術力が高く、他の社員から崇められるほど尊敬されているんですよ。

ferret:
凄腕エンジニアということでしょうか。開発も日本語で進めていますか?

石井氏:
やはり仕事ができるから尊敬を集めるのでしょうね。

ベースは英語で開発して、日本語版にローカライズします。英語が基になっている分、スペイン語など多言語へ展開しやすくて、スピーディーに海外展開できるのはメリットだと感じます。

実績が新たな求職者を呼ぶ好サイクル

ferret:
多くの優秀なエンジニアを惹きつけている御社ですが、エンジニアにとってどんなところが魅力だと思われますか?

石井氏:
エンジニアの場合は会社選びの基準が明確なんです。*どれだけ先端技術に関われるか*ですね。作っている製品がどれだけ世に認められるか。こういったところに魅力を感じて、腕を磨きたいと思って来てくれるんですね。これは日本人エンジニアも同じだと思います。

弊社のAIチャットボットなどに携わりたいと感じるエンジニアは多いようです。

ferret:
「どれだけ先端技術に関われるか」というと米国や他の国との競争になるように思います。

石井氏:
そこはやはりまず日本が好きな方が日本にくるというのが大きな要素ではありますね。

ferret:
日本では福利厚生を充実させることで社員の満足度を高めようとする企業が多いかと思いますが、外国人の方たちはそのあたりは重視するのでしょうか。

石井氏:
外国人の場合、福利厚生の充実度が定着度や採用に直結するかというと、現在のところ大きな要因とはなっていません。ただ、「居心地のよさ」は関係しているかと思いますね。外国籍社員の勤務実績が豊富なことで、お互い相談がしやすい環境が生まれています。キムチや魚醤の香りが入り混じるなど、国籍が様々であるがゆえに食事やオフィスの過ごし方でも多様な文化が混在しますが、こういった業務とは直接関係のないことで、みんな気にしないことが働きやすい職場と評価されているのではないでしょうか。

それから、コミュニティがけっこう狭いんですよ。先ほども言ったようにハノイの優秀なエンジニアのコミュニティの中で弊社は有名になっているんです。ハノイ工科大学のIT系学部を卒業した人たちの中で「あぁ、モビルスっていっぱい知り合いいるよね」という感じなので、安心感を持たれているのではないでしょうか。

ferret:
仲間の口コミがあると確かに選びやすいですね。

離職率7.15%! 居心地のよさを生みだす制度 

ferret:
人事制度面で工夫されている点はありますか?

石井氏:
仕事に対して正当な評価ができているかどうかには特に気を付けています。外国人が気にする部分だと感じているからです。具体的には、昇級・昇格ができるタイミングのルール化をはじめています。

また、有給消化といった福利厚生などについて不満がある場合は直接私にクレームが出ますので(笑)、検討して社内規則を変更するなどの対応を随時しています。

ferret:
風通しがいいんですね!
御社の求人ページを見ていて、福利厚生欄に「寿司パーティー」の文字を発見しました。

石井氏:
パーティーというほどでもないのですが、毎月1回、金曜日の夕方に会議室に寿司の出前を取っています。

最初はピザだったんですが、いつの間にか寿司に切り替わっていました。みんな、仕事途中でも寿司パーティーに集まって食べていますね(笑)。

弊社の福利厚生が特に手厚いわけではないと思いますが、社内コミュニケーションの活性化には一役買っているように思います。

ferret:
社員の定着率に貢献しているのですね。

石井氏:
2018年度の離職率は7.15%でした。あと、一度退職して独り立ちしたあと、出戻りした社員もいるので、外国人社員にとって戻りやすい環境になっているのではないでしょうか。

参考:平成29年度雇用動向調査によると、離職率は14.9%になっている。

多様な国籍の従業員が働きやすいマネジメントとは

ferret:
出戻りしたくなるほど居心地がいい職場の秘密はなんでしょうか?

石井氏:
色々な価値観の人が集まっていることではないでしょうか。

日本人社員の中にも、会議中でもお構いなしに、決まった時間になるとお弁当を買いに行ってしまう社員もいますよ。直近ではインドネシア出身のムスリムの方が入社予定で、一日5回お祈りをしたいという希望がありましたので、会議室をお祈り用の部屋とすることにしました。ベトナム人は社内でも裸足で歩く習慣がありますし、様々な文化を持つ人たちがいますね。

それぞれの国の人の文化を尊重することが大切なのですね。

ferret:
国ごとに異なる価値観や習慣に合わせて対応されているのですね。
メリットも多い外国籍社員の採用ですが、外国人エンジニアと働くことによって困ったという経験はありますか?

石井氏:
エンジニア特有の仕事の進め方は散見されますが、どれも日本人なら起こらないという訳ではありませんので、PMのマネジメントでコントロールしています。

マネジメント側が多国籍な文化に慣れていることは重要なポイントだと思います。私自身、中南米に11年駐在し、様々な国出身の部下100人をマネジメントしていた経験があります。弊社のマネジメント層はほとんど日本人ですが、彼らにも国際経験があるからこそ、様々な人たちがいても働きやすい。そういうサイクルができているんだと思います。

ただ、滞在経験がない方でも先ほど申し上げたように、 他国の文化を尊重する気持ちを持っていれば大丈夫なのではないかと思います。

今後もインドなどから優秀な外国籍エンジニアを採用

ferret:
今後新たに採用してみたい国はありますか?

石井氏:
ブロックチェーンとAIの領域を強化していきますので、その分野のエンジニアが多いといわれているインドには興味があります。この分野は日本で待っていても人財が出てこないので、インドやベトナムから採用を考えています。余談ですが私はよくインド人に間違われますしね。

あと、ウクライナのエンジニアも優秀という話を聞きます。現在働いてくれているロシア人エンジニアたちも非常に優秀なので、ウクライナにも興味があります。

ferret:
そのようなエンジニアたちに、どうアプローチしていきますか?

石井氏:
優秀なエンジニアを見つけるのには決まったやり方があるわけではありません。やはり現地にいって、知り合いを頼り、直接候補者と面談をすることですね。

近々、まずはインドに訪問する予定があります。

優秀なエンジニアを口説くために「モビルスで仕事をするとスキルが格段に上がる」「3年以上のスパンで考えたときに、モビルスでのキャリアは市場バリューがある」と思ってもらえるような会社にしていきたいと考えています。

ぜひ、弊社をスキルを上げるための踏み台にしてほしいですね。

まとめ

モビルス株式会社の石井氏に、外国人エンジニアを採用する方法や、定着率を高める職場づくりについて伺いました。

どんな文化背景を持っていても自分らしく働ける職場づくりが印象的でした。また、そんな実績がさらに求職者を呼び込むという好サイクルが出来上がっていることがポイントではないでしょうか。

よい口コミは一朝一夕で作りあげられるものではありませんが、まずはひとり、ふたりと同じ国や学校から採用してみることが近道かもしれませんね。

ゆんくんしる(Myoon)

ゆんくんしる(Myoon)

日韓通翻訳・ベリーダンサー・ライター 日韓同時通訳、韓国語講師、ライターの仕事と並行して、ベリーダンスの魅力を普及するためにまい進。「言葉と踊りを通じて人と人をつなぎ、心を動かす」ことを喜びに活動しています。 著者ブログ:http://myoon.asia

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