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令和時代の新しい採用活動「スクラム採用」成功のための5つのポイント

2019年春、注目を集めている「スクラム採用」。従来型の採用活動とは大きく異なり、全社員が自律的かつ自主的にアクションをとる新しい採用活動です。

これを提唱するのは、株式会社HERP 代表取締役CEOの庄田一郎氏。今回は、スクラム採用が解決する企業の抱える課題、企業にもたらすポジティブな変化について詳しく伺います。

庄田 一郎氏 プロフィール

2012年新卒として株式会社リクルートに入社。退職後フリーランスとして複数社の採用広報支援に従事し、その後2015年、フリーランス時のクライアントの一つであったエウレカに正社員として入社。入社後は採用広報業務や全社員を巻き込んだ社員紹介採用推進プロジェクトに従事。プロダクトオーナーとしてサービス開発などにも携わったのち、2018年、スクラム採用プラットフォーム『HERP ATS』を提供する株式会社HERPを創業。

スクラム採用が急速に広まる理由

Find Job! :
最近、SNSやWebメディアで「スクラム採用」というワードを目にすることが増えました。

庄田氏:
私たちの想定以上に早いスピードで認知が拡大していて、現代の企業に受け入れられやすい概念であることを実感しています。

Find Job! :
あらためてスクラム採用とは、どんな採用活動か教えてください。

庄田氏:
​​​​​​​人事が募集要件の策定から施策実行までを全て行う旧来型の採用活動と異なり、社員みんなが採用プロジェクトに携わり、自主的に採用施策の立案から実行まで遂行する採用活動です。その際、人事はプロジェクトマネジメントと施策設計のサポートを主に担当します。

Find Job! :
どういった企業の間でスクラム採用が広まっていますか?

庄田氏:
転職活動の概念がいち早く変化しているIT企業で多く受け入れられ始めているのではないでしょうか。

Find Job! :
転職活動の変化にスクラム採用がマッチしているということでしょうか。

庄田氏:
そうですね。その点もスクラム採用が受け入れられている理由の1つではあります。そもそもスクラム採用を企業が導入するメリットは大きくは4つあると考えています。

1つ目は、転職活動の変化への対応。SNSやイベント、副業など、転職のきっかけとなる接点は日々多様化していて、これら全てを人事のみで把握するのは困難になりつつあります。こういった状況に対してスクラム採用を導入すると、社員全員が接点となるため、多様な転職活動に対応した網羅的な採用活動を展開できるようになります。

2つ目は、最適な採用チャネルの発見。現場のさまざまな職種の人たちを巻き込むことで、人材紹介・求人媒体・直接応募・リファラル....どの職種にどの手段がベストか、企業に知見が蓄積されるようになります。人事はそれらを分析して、本来やるべき思考に専念することができます。

3つ目は、社員のエンゲージメント向上。採用の施策を社員1人1人が自ら考え実行することで、自社の魅力を言語化したり理想的な人材要件について思考を巡らせる機会が増えるため、企業理解が深まります。

そして4つ目は、企業の文化形成。スクラム採用を通じて自社への理解が深まり「採用こそ外部に任せず自ら行うべき最重要プロジェクトである」と、能動的な文化が企業に浸透します。例えば、自社の良いニュースをSNSなどでシェアすることがあたりまえのようになる状態です。

そうなると採用活動にとどまらず、社内の広報的な部分まで、現場がコミットして展開できるようになります。これまで気づくことのできなかった現場視点の鮮度の高いニュースもキャッチできるようになり、広報活動も活発になるはずです。

Find Job! :
企業文化の形成や広報の活性化といったインナーブランディング的メリットもあるんですね。

庄田氏:
現代は情報の流通が早いからこそ、ちょっとした個人のアウトプットが会社にとって致命傷になる可能性がありますし、逆にポジティブな発信がインターネットを通じて浸透しやすい傾向にあります。
なので、社員みんなが常にいきいきしている状態をつくり、企業のポジティブイメージを社員自ら発信して認知を広げることは、採用活動においても大きくプラスに働くと考えています。

スクラム採用を成功させる5つのポイント

Find Job! :
従来型の採用活動と大きく異なる分、導入にあたり気をつける点も多いと思います。
特にどんな点に注意すべきでしょうか。

庄田氏:
そうですね...スクラム採用を成功させるためのポイントは大きく5つあります。

1から順に着手していくほうが成功させられると思いますが「1.経営層のコミットメント」と「2.現場への権限移譲」に着手するハードルが高いという場合は「3.採用情報のオープン化」から始めるのもおすすめです。

導入前の準備として、まずおさえておくべきポイントは、経営層の採用へのコミットメント。スクラム採用がうまくいく会社の特徴として、経営陣の採用に対するコミットメントが非常に高い傾向があります。

弊社が今年3月に第1回目を共同開催した、スクラム採用がテーマのイベント「Scrum Rearuiting LABO」のトークセッションでも、具体例が挙がりました。例えば、メルカリでは代表取締役会長兼CEOの山田さん自ら採用の重要性を全社会議で唱えているそうで、heyの代表取締役副社長の佐俣さんも 「会社づくりはプロダクト開発と同じ」という思想を社内向けに発信しているとのことでした。

これまでは「お金を大量に投下すれば良い人材を獲得できる」と経営層が現場に全てを委ねる思想があたりまえでしたが「経営層もスクラム採用を牽引する仲間の1人である」という意識改革が必要です。

2つ目は、現場への権限移譲。経営層の理解があったとしても、現場のできることが限定的になってしまうと、上手く制度がまわらなくなってしまいます。例えば、heyでは、要件や施策を決めるのは現場、応募を集めるのは人事、最後の意思決定は現場と人事...と役割分担を決めて、これまで採用担当が行なっていた役割を、現場へどんどん委譲しています。

ただ、いきなり現場の全員を採用活動に巻き込むのはハードルが高いことです。これは日本の企業風土的な問題でもあるんですが、どうしても最初は人事と現場の距離が遠い。そういった場合は、ロイヤリティの高い一部の社員から、少しずつ巻き込んでいくことを提案しています。マネージャーや部長クラスなど、まずは小さなグループへと権限を移譲していく。そうして人事自身のプロジェクトマネージャーとしての成功体験を増やしていくと良いのではないでしょうか。

3つ目は、採用情報のオープン化。これまでは、人事内でクローズドに採用にまつわる情報を管理していたと思いますが、経営層も現場も巻き込むということは、誰もが採用情報を活用できる状態にしなくてはなりません。もし経営層や現場をいきなり巻き込むハードルが高いのであれば、情報のオープン化を先に進めることで議論が前進しやすくなる可能性もあります。

例えば、私たちが提供している「HERP ATS」も、情報のオープン化をサポートをするためのプラットフォームのひとつ。複数の媒体からの応募情報を自動で一元管理したり、応募条件や選考過程を可視化することができるので、こうしたツールを使うことで社内における採用活動にまつわる情報が扱いやすくなるでしょう。

そもそも採用の領域は、マーケティング要素がふんだんにあるにも関わらず、これまで数字を詳細に可視化できない領域でもありました。というのも、採用チャネルごとにツールも数値も異なるため、結局、採用決定人数がKPIになってしまう。欲しいデータがないのにチャネルだけ増える一方でした。その悩みを解決する手段として「HERP ATS」のようなツールを弊社では開発しています。

スクラム採用においては、人事に現場を束ねるプロジェクトマネジメントスキルが求められるようになりますが、まず何ができるようになるべきかというと、こういったツールをつかったKPIのトラッキングに挑戦することでしょう。

ここまで整えたら、あとは候補者とのコミュニケーションを促す部分に着手します。4つ目は、オフラインでの接点づくりです。いざ、経営層と現場を巻き込み、データの環境も整った...というところで、いきなり現場の方々にアクションをとってもらうのは非常に難しいところ。

例えば、heyのイベント「Hello hey (https://hey.jp/events/hello-hey/)」のような、カジュアルに候補者にオフィスへ来てもらえる会社説明会を設けたり、社員と候補者の接点を少しずつつくるところから始めてみてはいかがでしょう。

最後の5つ目は、現場が動きやすくなる制度設計。接点づくりができたら、あとは社員が実際にアクションをとるにあたって敷居を下げるしくみをつくります。例えば、社員が候補者を誘って気軽に飲みにいけるよう1万円まで飲食代を支援するなど。社員みんなが動きやすくなるしくみを人事が整えていくフェーズに入ります。

能動的な採用活動があたりまえの世の中に

Find Job! :
新しい元号となり、あらゆる分野において変化が加速する日本社会。これからスクラム採用をはじめ日本の採用活動はどう変化していくでしょうか?

庄田氏:
専門性の高度化や働き方改革は、IT企業に顕著に影響が見られますが、今後は業界に関わらず起こりえることだと考えています。

例えばエンジニアよりも求人倍率の高い、医療やドライバーといった分野など、レガシーな領域においてスクラム採用がどう浸透していくかまだ未知の部分もありますが、採用活動に注力したいという前提があれば、スクラム採用の導入は成功するのではないかと考えています。

データベース依存の既存の採用活動から能動的な採用活動があたりまえの世界へ。私たちはその運動を「採用活動2.0」と定義しているのですが、最短で採用活動の概念をアップデートするために、テクノロジーを駆使してこれからも新しい採用活動のあり方を提案していきます。


白方はるか

白方はるか

Web制作会社のプランナー、編集会社の編集、IT企業のEC事業部でPRディレクターを経てインタビューとイベントレポート中心のフリーランスに。清澄白河在住。 https://twitter.com/tyore

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