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学生のSNS活動を部活と同じく評価する会社?サイバー・バズの「インフルエンサー採用」の狙いとは

「自社に合った人材を採用する」、それは企業の未来を左右する重要な課題です。多くの企業は、新しい人材との出会いの在り方を模索しているのではないでしょうか。

そこで「インフルエンサー採用」を打ち出して話題となった株式会社サイバー・バズに話をうかがいました。

同社は2018年から、SNSの投稿に「いいね」数が一定数以上つくと「書類選考を免除」となるインフルエンサー採用を実施。今年はさらにバージョンアップし、「即最終選考(社長面接)」の権利が得られる採用方法も追加されました。

なぜバージョンアップさせたのか、インフルエンサー採用のメリットとは何か。さらにSNSの投稿トレンドなども伺いつつ、どのような思いでインフルエンサー採用を行っているのか深堀りします。

プロフィール

中野陽子(なかの ようこ)

株式会社サイバー・バズ  社長室 人事 マネージャー

大学卒業後、不動産、人材等の人事業務を経て、前職では大手インターネット検索サービス企業にて新卒採用、中途採用、新卒研修に携わったのち、2018年1月にサイバー・バズに入社。

現在は新卒採用、中途採用、育成・研修など、 マネージャーとして人事業務に幅広く携わっている。

齋藤まりあ(さいとう まりあ)

株式会社サイバー・バズ  社長室 人事 シニアスタッフ

大学卒業後、美容業界を経て2013年9月にサイバー・バズに入社。

営業事務、販売管理、外部向けイベントやセミナーの司会業務を経験。2015年4月に社長室に異動し、新卒採用業務全般を担当している。

インフルエンサー採用とは?

ferret:
インフルエンサー採用について教えてください。

齋藤氏:
弊社で行っているインフルエンサー採用は、学生がSNSを使って行ってきたインフルエンサー的な活動にスポットを当てた採用方法です。

Facebook、twitter、Instagram、YouTubeの投稿に「いいね」数が300以上ついた投稿者は「書類選考を免除」という採用方法に加え、今年はさらに1ルート増やして、同社指定のハッシュタグをつけた投稿に500いいね以上集まると「即最終選考(社長面接)」となります。

学生たちがこれまで行ったきたインフルエンサー的な活動の取り組み方やその努力に着目しています。

ferret:
実際に2019年度の新卒は何名ほど入社しましたか。

中野氏:
通常の新卒採用を含めて12名が入社し、その内2名がインフルエンサー採用です。たまたまなのですが、SNSアカウント運用事業の営業とコンサルに1名ずつの配属となりました。
インフルエンサー採用だから「SNS部署」ではなく、適性と希望を考慮して決められています

ferret:
インフルエンサー採用の方は、インフルエンサーとして活動したいという意向を持つ人が多いのではないでしょうか。

中野氏:
そういった方も中にはいらっしゃると思いますが、私たちはあくまでもサイバー・バズの総合職として採用していて、そこに魅力を感じた方に入社していただいています。
SNSの投稿を多くの人に届けるために工夫してきた工程(PDCA)やその経験、思考力は、ビジネスにも通じると思っています。

たとえば何時に投稿すればいいね数が伸びる、どういうハッシュタグ設計をすると拡散される、クリエイティブにおける見せ方の工夫なども、試行錯誤して得たものだと思うのです。そのPDCAをまわせる力に期待しています。

ferret:
なるほど。ちなみに入社された方は、学生時代にどのような発信をされていたのでしょう。

齋藤氏:
ひとりはプチプラコスメを使い比べてレビューするアカウントでした。イラストでコスメを描いてそこに解説を入れ、ライティングも工夫していました。もう一人は、自分自身がインフルエンサーという感じで発信をしていて、その知見や経験をビジネスに活かしたいという人でした。

なぜ「いいねの数」なのか

ferret:
ではなぜフォロワー数ではなく、「いいねの数」に注目されているのでしょうか。

中野氏:
私たちはその人個人のアカウントを使って、SNS運用をするわけではありません。そのため、個人の影響力の強さではなく、どのような工夫ができる人かに主軸を置いているのです。また、フォロワー数が少ないにも関わらず、リーチできているというのも工夫の結果だったりすると思うからです。

ferret:
なるほど。では通常の採用方法で入社された方と、インフルエンサー採用の方と仕事をしていく上で、何か違いは見られるのでしょうか。

中野氏:
もちろん個々の特性はあるとは思いますが、まったく別の人を採用しているという意識はありません。

部活やアルバイト、インターンなどを頑張ってきた人たちの「努力」は、選考書類や面接などを通して知ることができます。

しかし採用時にインフルエンサー活動がフォーカスされることはあまりありません。
ですが私たちはインフルエンサー活動は、その人がやってきた努力の見えるツールのひとつになることもあると考えています。

ferret:
部活やインターンに打ち込んだ人たちと同じように正当な評価をされる訳ですね。

中野氏:
そうですね、分野が違うだけです。

ferret:
そもそも御社は、どのような点を大切に採用選考しているのでしょう。

中野氏:
社長も言っているのですが「能力よりも人間らしさ」です。「一緒に働きたいかどうか」を基準にしています。
頑張りの成果だけではなく、その過程にもスポットを当てていきたいのです。どのように考え、向き合い、協力してきたか。そうやって取り組む姿勢は他のところにも活きてくるはずです。

インフルエンサー採用を行うメリットとは?

ferret:
インフルエンサー採用を行うメリットを教えてください。

中野氏:
応募の時に「SNSを見て知りました」という方が多く、採用としてメリットがあると感じています。普通に就職活動していたら出会えなかった学生にも出会えているわけですから。
また学生自身が拡散してくれるので嬉しいですね。

齋藤氏:
大学のサークルでも話題になっていたようです。口コミで知り応募してくれた人もみられました。

ferret:
口コミでの応募もあったのですね。

中野氏:
あと皆さん、投稿に工夫を凝らしている点は参考になります。トレンドに敏感でキャッチアップ能力の高い学生が多いです。

実際に、新卒社員には業務の振り返りも兼ねて日報を書いてもらっているのですが、「今、中国のインフルエンサーでこういう人が流行っています」などトレンドの情報も併せて発信してくれるんです。

それは他の社員の刺激になっていますね。情報のリソースとしていい影響になると思います。

齋藤氏:
結構、楽しみにしている社員も多いですね。

中野氏:
新卒社員には「日報は自分をより知ってもらうためのツールとしても使ってね」と話をしています。ですからみんなそこで個性を出してくるわけです。

齋藤氏:
社内で自分の存在をアピールしてプロモーションしていこう、というのが弊社の文化。若手の情報発信はウェルカムです。

ferret:
では他の会社が自社で「インフルエンサー採用」を行いたいと思った場合、どのようにすれば良いと思いますか。

中野氏:
事業との親和性や、各企業の採用スタンスにもよりますので、同じインフルエンサー採用をそのまま取り入れることが「上手くいく」、とは言い切れないかなと思いますね。

弊社のインフルエンサー採用の実施背景の1つに「学生の活動が多様化する中で、企業がその動きを敏感にキャッチし柔軟に対応していく必要がある」という観点があります。

学生動向や世の中の動きにアンテナを張りつつ、自社に合った採用はどのようなものかを突き詰めていくことが大切だと思います。

ferret:
なるほど。インフルエンサー採用ありきではないと。

中野氏:
はい。そういった中で、弊社にとっては「インフルエンサー採用」という採用ルートが事業との親和性なども含め、上手く働いたのだと考えています。

ferret:
御社の採用のシステムは新卒へのリーチはもちろんですが、「発想がおもしろい企業」と思われやすいメリットもあると感じました。

齋藤氏:
そこを狙って始めたわけではないですが、そう思ってくださるなら嬉しいです。

ferret:
同じような代理店に頼むならば、「ちょっとアイデアが多そうなので」という風にゆくゆくはつながっていく気がします。

サイバー・バズの「社員のモチベーションを上げる」取り組みとは?

ferret:
インフルエンサー採用の他にも、何か特徴的な取り組みはされていますか。

齋藤氏:
社員も経営を身近に感じられる「JJ(自考自創)会議」を行っています。会社をより良くするために社員が経営者に事業案などを直接提案して、その場で決議してもらえます。社員といっしょに会社をつくっていける体制があるのです。

ferret:
新卒でも出られますか。

齋藤氏:
一番大きなJJ会議は役員がチームリーダーとなり、会議に出席できるメンバーをドラフトで選びます。
​​​​​​​その他にも何種類かあってルーキーJJ会議は、30歳以下のマネジメント職以外のルーキーだけがチームを組んで、会社のことについて考えます。

中野氏:
一番大きいJJ会議は、提案するまでに準備期間が1カ月ほどあるんですね。その中で会社の課題などを役員を交えて議論していきます。会社は今どういう状況で、どのような課題があるかなどに触れて考えられるわけです。

齋藤氏:
ちなみに今年から追加された「500いいねで、即最終選考」というインフルエンサー採用方法も、内定者版のJJ会議で提案されたものです。

ferret:
柔軟な会社ですね。

中野氏:
ありがとうございます

「知識映え」とは?インフルエンサーマーケティングは、どう変化する?

ferret:
あるインスタ世代の写真家から、今の時代エフェクトなどをかけることが当たり前なので「逆算して撮っている」という話を聞きました。完成図が見えているんですね。そこに対してシャッターを切るだけなので仕事も早い。

齋藤氏:
インフルエンサーの方も同じことを言っていました。最後の構図があらかじめ頭にあるため、それを再現するように撮影していくそうです。もちろんクオリティも高いですね。

中野氏:

触れる情報が多くなっている分、自分をPRする機会が多くなっているのではないでしょうか。プロモーション能力に長けていらっしゃいますよね。

ferret:
そのような世代が増えてくるわけですよね。インフルエンサーマーケティングは今後どうなると思いますか。

中野氏:
弊社がインフルエンサーを使った口コミビジネスをはじめて10年以上が経っています。今はInstagramやTwitterなどが主流となっていますが、初期の頃は違うツールが主流でした。

流行りのツールはその時代によって変わるものです。しかし口コミで人の消費者心理に火をつけるという点は、変わっていかないと思っています。

インスタ映えの次は「知識映え」⁉

ferret:
御社が注目している「SNSのトレンド」を教えてください。

中野氏:
常に新しいトレンドが生まれているSNSの世界なので注目しているものはたくさんありますが、画像だけではなく知識に焦点を向けた「知識映え」もトレンドの1つだと社内で話題になっていましたね。

たとえばファンデーションの紹介をするときに、ただファンデーションの写真と紹介文だけではなく、「ファンデーションとあわせて別商品のコンシーラーを重ねて一緒に塗ると、お肌のシミが見えにくくなります!」と、ファンデーションとコンシーラーを一緒に写した写真とテキストで解説するような投稿も知識映えですよね。

あと最近は、投稿自体も写真だけでなく動画がとても活発になっていますね。

ferret:
それでは今後、どのような新卒が入社してくれることを期待しますか。

中野氏:
まだまだ拡大フェーズの会社だと思っているので、自分たちが主人公となって主体的に関わってもらえる人に来てもらいたいですね。

なぜ大手ではなく弊社のような規模感の会社を選ぶのか、というところに紐づいてくると思います。そこは大事にしているところです。

また、当社では普段からCMで観ているような大手企業のマーケティング戦略に新卒から携わることができますが、こういった裁量権の大きさや成長できる環境に価値を感じてもらえたり、共感してもらえるような人にも来てもらいたいと思います。

齋藤氏:
弊社は自由に声が挙げられる環境なので、その環境を有効活用してやりたいことを意欲的に発信してもらい、上を突き上げるような存在になってくれる人が来てくれたら嬉しいですね。

ferret:
企業として今後の展開を教えてください。

齋藤氏:
引き続き当社の強みでもある“インフルエンサー”を主軸に事業を展開していきます。
SNSと共に育ってきた“ソーシャルネイティブ”な世代が世の中のボリュームゾーンとなる時代がやってきます。市場の拡大に合わせて弊社も事業を推進していくつもりです。


夏野 久万

夏野 久万

フリーライター。 会社員時代は、求人広告代理店の営業兼ライター、出版社・デザイン会社でライター・コピーライターなどを経験。デザイン会社では、チラシ、ポスター、フリーペーパー、パンフレット、コンセプトブックなど、広告物全般を担当。企画から時には進行管理などもおこなった。現在はフリーライターとして、マーケティング記事の他、恋愛コラムや新聞・雑誌で取材記事をおこなう。建造物好きなことから不動産分野の取材記事が好物。

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