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採用エージェントだってナーチャリングが必要!内定承諾率が33%→70%に伸びたジーニーの採用戦略

人材業界の売り手市場が続くなか、「中途採用がうまくいかない」と悩んでいる企業は多いでしょう。

中途採用がうまくいっていない理由としては、「そもそも応募者が集まらない」「内定を出しているのに承諾してもらえない」「入社してもすぐにやめてしまう」など、様々な理由が考えられます。

今回は、採用エージェントを活用して内定承諾率を伸ばした株式会社ジーニー 人事部 マネージャーの藤本友仁氏に、エージェントとの関わり方や中途入社が早期離脱しないための工夫、さらに引っ越したばかりの新オフィスのこだわりについてもお伺いします。


藤本 友仁氏プロフィール

fujimoto

大学卒業後、化粧品会社に入社し、人事業務をスタート。その後ソーシャルゲーム開発、外資系ネット広告の会社を経て、2016年11月に株式会社ジーニーに入社。これまで新卒採用・中途採用・給与計算・制度設計・教育などの人事業務全般を幅広く経験。同社では人事部のマネージャーとして採用業務全般や評価制度の運用を担当している。


採用ができない原因を数値化する

藤本

ferret:
人材は売り手市場と言われる中、事業を拡大中のジーニーさんに関しても、即戦力となる中途の採用に力を入れているのではと思います。採用活動はどのように進めているのでしょうか?

藤本氏:
入社してすぐ中途採用には課題があり、改善できる点があるなと漠然と感じていました。当時は、採用しなければならないポジションが複数あるものの、ポジション毎の書類選考数、面接の通過率、内定率等が可視化されておらず、状況を正しく把握し課題を特定することができていないような状況でした。

ferret:
そこに対して藤本さんはどのような対策をとられたのでしょうか?

藤本氏:
まず実施したのは、感覚的、感情的にみていた採用の課題を「数字で全部見えるようにする」ということです。感覚的に「採用できない原因はこれ」と思っていることがあったとしても、それが必ずしも正しいとは限りません。

採用できない理由を、「母集団が少ない」「面接の通過率が悪い」「募集要項に問題がある」と思っていたとしても、数字で見ると全然違うこともあります。そこで課題を数値化し、本当の課題を一つひとつ潰していくことで、採用の改善をしていったんです。

小さな課題を抽出したら、あとはそれに対してひたすら打ち手を考えて実施していきました。とはいえ色々な打ち手を40〜50個試した中で、クリティカルにヒットしたのは10個もないぐらい。毎週採用チームで定例をして、成果を確認しながらPDCAを回していきました。


採用エージェントのナーチャリングも必要

藤本

ferret:
採用にはダイレクトやリファラル、エージェント、イベントなど、数多くの手段がありますよね。ジーニーさんでもっとも力を入れている採用手法はどれでしょうか?

藤本氏:
最初はダイレクトに力を入れていましたが、今はエージェントからの採用数が多いです。比率で言うと、エージェントが6、ダイレクトが3、リファラルが1ぐらいの割合です。

ferret:
なぜエージェント重視に切り替えたのでしょう?

藤本氏:
3ヶ月間ひたすらダイレクトに集中した時期があったのですが、その時の返信率と応募からの承諾率から逆算すると、採用ポジションに対して明らかにデータベースの量が足りず、母集団が形成できないとわかりました。

またダイレクトで採用できるポジションとできないポジションもハッキリしてきて、そのギャップをエージェントからの採用で埋めていこうと考えて力を入れた結果、採用数が増えていきました。

ferret:
エージェントからの採用を増やすため、具体的にはどのような工夫をしたのでしょうか。

藤本氏:
当時、エージェントからの紹介数は月に30件程で、それだと母集団が足りず、紹介数を増やす必要がありました。ただ、当時エージェントとの関係は希薄になっていて、紹介して下さいと言ってもすぐ紹介数が増えるような状況ではありませんでした。

エージェントからの採用者を増やすには、まずエージェントが候補者と会った時に「ジーニーに紹介しよう」と思ってもらわなければなりません。その時にエージェント自体がジーニーのことがわからない、ジーニーの選考ポイントもわからない、では紹介してもらえません。

エージェントにとって、僕らは数ある企業のひとつです。なので大切なのは、「エージェントとの信頼関係」。僕たちは自社でMA(マーケティングオートメーション)を開発しているので、MAを採用活動に活かせないかと議論していた時に、エージェントに対してもナーチャリングが必要だろう、という考えに至りました。採用者のナーチャリングだけでなく、エージェントのナーチャリングもしていくべきだと。

そこでまずは、過去の推薦数や内定承諾率の実績から、10社ほどエージェントを絞りました。そしてピックアップしたエージェントに連絡をして、個別に「弊社の期待していること」や「クロージングの方法」「ダイレクトリクルーティングの文面」などを見せながら説明をしたり、エージェント全体向けの説明会を開催したりしました。あとは自社のMAを活用してエージェントさんに毎週「今週はこんな人が決まりました」というメルマガを送信してみたり……。

ferret:
まさに、必要な人材を紹介してもらうための、エージェント育成ですね。その結果として、エージェントの動き方に変化はあったのでしょうか?

藤本氏:
ありましたね。まず、推薦数は月30件から、月170件前後まで、5~6倍増加。エージェントからの問い合わせも増えましたし、エージェントのクロージングの仕方も変わりました。最終面接前にエージェントさんに候補者さんの様子を聞いて、でしたらこうやって話をしてみてくださいと言う提案をする様なこともあります。

その結果、当時33%ぐらいだった内定承諾率は、ピーク時は70%ほどにまで上がりましたね。


中途の人たちが会社の文化に馴染める環境を

藤本

ferret:
採用は、内定承諾してもらえれば終わりではありません。入社してからどれだけ力を発揮して、継続的に働いてもらうかという視点も大切ですよね。中途入社の退職率について、課題はありましたか?

藤本氏:
2~3年前までは、中途採用した方々が早期に退職してしまうというのが頻発していました。なぜ退職してしまうのかを考えた時に、そもそも中途入社の方をフォローできていたのか?採用方法自体が間違っていて、会社についてよくわからないまま採用までにいたっているのかもしれないと考えました。

そこでガラッと変更したのは採用フローです。それまでの採用フローは、一次面接で現場、二次面接で社長、の全2回の面接でした。それを一次面接は人事が担当し、全部で3回の面接にしたんです。

一次面接の役割としてはジーニーの魅力づけです。一次面接は絶対に候補者の方と会うようにして、ジーニーのことを知ってもらう場にします。そしてどんどん二次面接に通して現場の人間がスキルセット等を確認する。最終面接の役割はクロージングです。

ferret:
第一フェーズとしてジーニーをよく知ってもらう工程を入れることで、文化のミスマッチが少なくなるということですね。

藤本氏:
そうですね。それに加えて、早期退職してしまう人たちの原因の洗い出しもしました。具体的には、早期に退職してしまった人たちにインタビューして、「なぜ辞めてしまうのか」というのを詳しく聞きました。

そこで早期に退職する人の共通項として、「会議体を理解していなくて、コンセンサスの取り方を間違っている」「資料の置き場所がどこかわからない」「社内の一部の人としかコミュニケーションをとっていなかった」など、小さな課題の積み重ねがきっかけのだったことがわかったんです。

ferret:
仕事内容ではなくて、会社の仕組みがうまく伝わっていなかったと。

藤本氏:
はい。そこで人事としては、それらの課題をチェック項目化して、一ヶ月ごとに面談を入れるようにしたんです。チェックできない課題をそこで発見して、フォローしながら、中途社員の人が社内制度がわかって能動的に動ける環境が作れたらなと。

実際に中途入社の方と毎月面談を実施して課題をチェックするプログラムを始めてから、一年間は退職者が出ませんでした。


新オフィスのコンセプト

ferret:
ジーニーさんは2018年9月にオフィスを引っ越ししたばかりですよね。毎日訪れる場所ですから、オフィスの環境も働く人々のモチベーションに大きく関わってくると思います。

新オフィスにはどの様なコンセプトがありますか?

藤本氏:
新しいオフィスは「ジーニーらしさ」を軸に、社員から幅広く要望やアイディアを集めながら進めました。そうして指針になったのが、「機能的」「効率的」「創造的」というテックカンパニーならではのアプローチです。

多様な働き方に対応しながら、一人ひとりが新しいビジネスを創出するためのパフォーマンスを最大限発揮できる、社内外のコラボレーションハブとなるようなオフィスを目指しました。

ferret:
特に工夫した点はどこでしょう?

藤本氏:
以前はツーフロアだったオフィスをワンフロアにすることで、エンジニアもビジネスサイドもすぐに意思疎通ができて効率的になりました。あとはスペース。前のオフィスは人が増えたこともあり、狭くてスペースに余裕がありませんでした。今のオフィスでは、執務室内に土足厳禁の小上がりスペースを用意して、リラックスしながら広々と仕事ができる環境にしています。

小上がりスペース

藤本氏:
また、会議室の数も3倍に増やしています。単純に会議室の数を増やしただけではなく、ラウンジのソファースペースにもモニターを設置して、より気軽に会議ができる環境も用意しています。1on1用の会議部屋も新設しました。

会議スペースにもなる

藤本氏:
ほかにも、卓球台としても使用できるテーブルをおいたり、執務室内に机が上下する昇降デスクを設置して立ちながら会議や仕事ができるようにしたりと、遊び心が溢れるオフィスになっています。

卓球台にもなるデスク

ferret:
社員のみなさんの反応はいかがでしょう?

藤本氏:
好評ですね。もともと社風として新しいもの好きというのもありますから、遊び要素のあるオフィスはあっているのだと思います。

以前よりものびのびと仕事ができている印象はありますね。


エージェントに自社を知ってもらう

エージェントにとって、採用候補者を紹介する企業はひとつではありません。

数ある企業のうち、「あの企業を紹介しよう」と思ってもらうためには、まず、エージェント自体に自社について知ってもらうこと。さらに、内定承諾を後押しするためのフォローをしてもらうことが大切です。

エージェントを用いた採用をするのであれば、ジーニーの「エージェントをナーチャリング」する思考を取り入れてみるとよいのではないでしょうか。

岩﨑美樹

岩﨑美樹

テクノロジーやWebサービスを紹介するメディアにて執筆を経験。2018年株式会社ベーシックに入社。「誰にでもわかるWebマーケティング」をテーマに記事を執筆しています。

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