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リファラル採用80%に貢献!ランサーズのピープルリレーション室とは

人材の定着や採用のミスマッチなどを防ぐためにリファラル採用に注目が集まっています。リファラル採用を運用していくには、社外に自社の魅力をアピールする以上に、社内に自社のファンを作っていく必要があります。しかし、どのようにその体制を作っていけばいいのでしょうか。

フリーランス総合支援プラットフォームを展開するランサーズ株式会社は、2018年9月に広報や人事機能を統合したピープルリレーション室を(PR室)立ち上げました。PR室の室長を務める宮沢美絵執行役員は「PR室の立ち上げによってリファラル採用が80%に到達した」と話します。

新組織とリファラル採用が増加したことはどのように施策に関連しているのか、また「個」の働き方を重視している同社が取り組んでいる採用活動について伺いました。

宮沢美絵氏プロフィール

大学卒業後、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社や株式会社ミクシィ、株式会社アイスタイルを経て、2014年9月にランサーズ株式会社入社。事業企画・マーケティング・事業責任者を担当したのち現職に至る。

社内ファンを増やすピープルリレーション室

ferret:
今年9月にPR室を立ち上げたと伺いました。具体的にどのような業務を担うのか、なぜ新部署を立ち上げる必要があったのでしょうか。

宮沢氏:
PR室は人事や広報、総務、労務が1つになった組織です。

私は入社して4年目になるのですが、社外だけでなく、社内に自社のファンを増やしていくことが、ランサーズの次の課題だと感じていました。やはり会社の組織で重要なのは「人」です。社内に自社のファンが多くいることが採用に効いてくるのです。

そして、社内のファンを作るとなると総務の強化、経営陣のメッセージを届けるため秘書の役割の強化が重要です。そのため、これらを一気通貫でやる必要性を感じたことも、ピープルリレーション室を立ち上げた理由です。

ferret:
実際に組織をまとめたことでどのような成果に繋がっているのでしょうか。

宮沢氏:
採用を強化するために、まずリファラル採用の比率を増やしたいと考えていました。PR室は9月に立ち上がったばかりなのですが、11月末時点の成果を見ると、ランサーズでのリファラル採用はこれまで全体の50%以下だったのが、現在は80%以上を占めており、一定の成果が出ています。

また、組織をまとめるという点で、社内のイベントやメッセージが伝えやすくなることも利点です。この社内のメッセージをまとめるために取り組んでいるのがnoteで展開している「つながる!ランサーズ」というメディアです。

参考:つながる!ランサーズ

社内報でエンゲージメント向上

宮沢氏:
「つながる!ランサーズ」はリファラル採用を増やすための施策です。メディア運営には複業研究家の西村創一朗さんに入っていただき、採用に効果的な記事を考えてもらっています。noteでの記事は社内での反響が多くきていますね。まだPVを追う状態ではありませんので、しっかりと運営を続けることが大切と考えています。

将来的にはオウンドメディアを通じて、採用のためのリード獲得に取り組む予定です。これは西村さんとの話から私自身も気付かされたのですが、採用という業務は非常にマーケティングに似ているのです。

マーケティングはリードナーチャリングしてホットリードを作り、コンバージョンへと繋げるという定番手法がありますが。採用もこれと同様の考え方で育成することができます。

例えば、オウンドメディアで情報発信し、社内の理解を深めてもらう。さらに、イベントを企画することは顧客育成であるナーチャリングと同義です。そうして理解を深めてもらうことで、コンバージョン(採用)に繋がるという点はマーケティング手法と同じ流れです。

ferret:
確かに共通項はすごく多いですね。

宮沢氏:
オウンドメディアを運用する際は大きく分けて、ブランディング目的と獲得(SEO)目的と分けられると思います。運用する上でマーケティング目線を重視すると、SEO施策の比重が大きくなり、ブランディング目的では福利厚生や社内のいいところだけを伝えようとなります。

採用のオウンドメディアを運用する際には、これはどちらかに偏るよりは両方の視点を持っていると成功するのではないかと考えています。

ピープルリーダーで活性化を

ferret:
社内でオウンドメディアを作っても一部の人だけが頑張っていたり、継続して運用できないということも課題になります。ランサーズではどのように運用されているのでしょうか。

宮沢氏:
弊社では従業員の社内報ネタ収集や各部の自社への興味関心を高めるために各部署に1人「ピープルリーダー」を置いています。

実際に人を立てることで、社内のネタが集まりやすくなったと感じます。

個のエンパワーメントを推進する

宮沢氏:
PR室の事業の軸は社外に対してはメディアを通して、ランサーズのミッションであり、組織ビジョンでもある「個のエンパワーメント」を示すことが1つあります。

10月にはエンジニアやデザイナー向けの「起業家タレント社員」の採用をはじめました。起業家採用というのは、起業しながら弊社でもその経験を生かして働いてもらうことを目的にしたものです。

弊社では2017年6月から企業の働き方改革を支援する目的に「オープン・タレント」を推進しています。オープン・タレントとはテクノロジーの力で働き方の可能性を広げ、スキルと仕事の効率的なマッチングで生産性が向上した社会の実現を目指す弊社の考え方です。こうした考えのもと、才能を持った人材を業務の雇用形態に関係なく、個人のこれまでの人生や経験、人脈を評価し、ランサーズの社員として採用する取り組みを進めています。

「つながる!ランサーズ」を見てくださっている西村創一朗さんもこの制度の一貫で採用させていただいています。

参考:「オープンタレント推進」第三弾 「起業家タレント社員」の募集開始

ferret:
実際に社内への影響はいかがでしょうか。

宮沢氏:
タレント性をもつ人以外にも様々な人の応募があり、多様な人材が集まることで、社内にいい影響が出ていると実感しています。

しかし、こうした制度で入っていただいた人にどのようなミッション・役割で働いていただくかは気をつけなければいけません。

タレント性や経験、能力がマッチする部署で働いてもらうのが大切です。配属の妙が難しいですね。また、評価についても働いた時間で測るのではなく、成果を重要視しています。

弊社ではこうした「個」の見える化、新しい評価の仕方に積極的に取り組んでいます。しかし、どう評価していくかというのはまだ改善する余地は多いですね。

ferret:
こうした取り組みとPR室ができたことはどのように関わっているのでしょうか

宮沢氏:
ランサーズ社内の変化を社内にまず打ち出すことですね。個のエンパワーメントを重視するからにはお互いのことをいかに知っているかが重要です。「ランサーズってこういう人がいるよ」「こういう取り組みをしているよ」ということを社内にも示すことがPR室の役割だと考えています。

リファラル採用を増やすためには、記事の質と量の両方が必要です。社員が「社内の雰囲気が変わってきた」という感覚を持って、その感覚をシェアしていかなければ社外にも魅力的に映りません。

そういう意味では人事だけではなく、広報・総務など社内外のランサーズ関係者に密接に関わる部署が一緒になったPR室を作ることが取り組みの量(記事)を見せていくことにつながりました。社内の取り組みを見せていこうとする良い循環が生まれ、リファラル採用の成果にも結びついていっているのではないでしょうか。

ゆるい繋がりが多様性ある採用に繋がる

宮沢氏:
先ほどの「起業家採用」はわかりやすい例なのですが、ランサーズというサービスをやっているからこそやるべき新しい働き方に関する取り組みを発信することは、社内外に納得感が高く共感を得られやすいので、今後も継続していきたいですね。

例えば、最近ではランサーズの社員がランサーズで副業して婚約指輪を購入した話があります。

参考:ランサーズで複業して婚約指輪を買った話~長年付き合っている男が結婚を決める理由~

「ランサーズの社員ってやっぱりこういうことするんだ」「こういう考え方持っているんだ」というような「ランサーズっぽさ」を出していきたいと思います。

どう見られているかは「広報」の観点に近いです。そういう意味でもユーザー視点をしっかり見ていくのが「マーケティング」や「人事」視点を組み合わせて行けるのがPR室の強みですね。

ferret:
ランサーズに関わるあらゆる人が御社の取り組みを見たり、関わったりしていくようになっているのですね。

宮沢氏:
採用で大切なのは「ゆるいつながり」なのではないかと思い始めています。オウンドメディアを運用しているのは、こうしたつながりを作るためでもあります。

過去の退職者や取引先の方、今すぐ転職は考えていないが新しい働き方に興味のある方などランサーズと採用以外で関わってくださっている方も含め継続的にゆるいつながりを作っていきたいと思っています。

ferret:
広くゆるい繋がりを常に作るということですね。

宮沢氏:
「起業家タレント社員」採用や、すでに実施している、従業員に地域でのテレワークを推奨する「社員さすらいワーク制度」などランサーズらしさを伝えていくことで、ランサーズ周辺にゆるい繋がりを作ることで多様な人材とアクセスすることとができれば、より多様な採用にも繋がってくるのではないかと考えています。

参考:テレワーク推進の一環として、「社員さすらいワーク制度」を開始

まとめ

今年9月に新しく新部署を立ち上げたランサーズさんに、組織をまとめることによるリファラル採用の成果向上、またリファラル採用に結びつけるためのオウンドメディア、社内制度について聞きました。

オウンドメディアの運用については人手やノウハウも必要となるために簡単にまねできるものではありませんが、各部署に専任担当をおくことや、退職者までを視野にリファラル採用を検討するという意識は参考にすることができるのではないでしょうか。



高橋佳久

高橋佳久

インドネシアやタイなどの邦字紙で編集者・記者として従事。2018年からferretでエディターとして記事を編集・執筆しています。

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